フラッパースタイル

フラッパースタイルのコーディネート例 ファッションテイスト・カルチャー
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フラッパースタイルとは、ウエストのくびれを強調しない直線的なドレス、低いウエスト位置、短くなったスカート丈、ビーズやフリンジなどの装飾を使い、1920年代の新しい女性像を表したファッションスタイルのことです。

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「フラッパー」はドレスの形だけを指す言葉ではない

フラッパースタイルとは?

フラッパー(Flapper)は、1920年代の欧米、とくにアメリカやイギリスの都市文化に登場した若い女性像を表す言葉です。

短い髪型、従来より短いスカート、ジャズやダンス、喫煙や飲酒など、それ以前の女性に求められていた規範から距離を置く生き方と結びつきました。そのため、フラッパースタイルは単なる「1920年代風のドレス」という意味だけでなく、当時の若い女性の自由や活動性を象徴する服装として理解する必要があります。

服装で最も重要なのは、19世紀から20世紀初頭に見られた、コルセットでウエストを強く絞るシルエットから離れたことです。

肩から腰までを比較的まっすぐ落とした筒状のワンピースや、腰骨付近までウエスト位置を下げたローウエストドレスが使われました。Fashion History Timelineは、1920年代を象徴するシルエットとして、この直線的な「la garçonne」ルックとドロップウエストを挙げています。

スカート丈も時代の中で変化しています。1920年代初頭から徐々に短くなり、1926年頃には膝付近まで上昇した例が見られました。その後は再び長くなるため、「1920年代のフラッパーはすべて超ミニ丈だった」と考えるのは正確ではありません。

昼の簡潔なドレスと夜の華やかなドレスがあった

現在「フラッパードレス」と聞くと、全面にフリンジやスパンコールを付けたパーティードレスを想像しやすいですが、当時の服装すべてがその形だったわけではありません。

昼間には、シルククレープやウールなどを使った比較的簡潔なワンピースが着られました。直線的な身頃、低いウエスト位置、膝下から膝付近の丈など、装飾よりシルエットによって1920年代らしさを示す服も多く存在します。

一方、夜のイブニングドレスでは、ビーズ、スパンコール、ラインストーン、刺繍などが多用されました。直線的で簡潔な服の形を土台にしながら、表面を光る装飾で覆うことで、ジャズクラブやダンスフロアで華やかに見える服へ変化します。

フリンジもこの夜の服装と相性のよい装飾です。身体を大きく締めつけないドレスに長いフリンジを付けることで、踊るたびに裾や表面が揺れ、静止した状態とは異なる視覚効果が生まれました。

したがって、フラッパースタイルを見分ける基準は「フリンジが付いているか」ではなく、直線的なシルエット、低いウエスト、1920年代らしい丈、活動性の高い服、夜の場合はビーズやフリンジによる装飾が組み合わされているかどうかです。

第一次世界大戦後の社会変化とジャズエイジが背景にある

フラッパースタイルが広がった背景には、第一次世界大戦後の社会変化があります。

1920年代には女性の社会参加が進み、アメリカでは1920年、イギリスでは1928年に女性参政権が大きく拡大しました。仕事、スポーツ、外出、ダンスなど、女性の活動範囲が広がり、衣服にも以前より動きやすい形が求められるようになります。Smithsonianの所蔵資料でも、1920年代の女性の新しい社会的役割と、ボーイッシュで活動的な服装との関係が説明されています。

同時にジャズ、映画、ナイトライフなどの大衆文化も急速に発展しました。ジャズは従来の社会規範から離れる新しい文化として受け取られ、ダンスを楽しむ若者の服装にも影響しました。

映画スターもフラッパー像を広める重要な存在でした。

とくにクララ・ボウは1920年代を象徴するスターの一人で、短いスカート、クロッシェハット、メイク、髪型などが若い女性から模倣されました。既製服の普及によって、映画スターの服装を一般の女性が比較的取り入れやすくなったことも、スタイルの拡大につながっています。

1920年代半ばに最盛期を迎える

フラッパースタイルの最盛期は1920年代、とくにスカート丈が短くなり、ジャズエイジの都市文化が成熟した1920年代半ばから後半と考えられます。

1925年頃にはドロップウエストや筒状のワンピースが広く見られ、1926年頃にはスカート丈もこの時代の中で最も短い水準に達しました。

一方、1920年代末になるとウエスト位置やスカート丈が再び変化し始めます。1930年代に入ると、身体の曲線へ沿うバイアスカットのロングドレスなど、より女性らしい縦長のシルエットが強まり、1920年代特有のボーイッシュで筒状の服装は主流から後退しました。

このため、フラッパースタイルは「1920年代全体の女性服」と完全に同義ではありません。1920年代の中でも、新しい若い女性像と結びついた特定の文化的・ファッション的表現として捉える方が正確です。

フラッパースタイルと近いテイストの違いとつながり

アールデコ風

アールデコ風のコーディネート例

アールデコ風は、直線、ジグザグ、サンバースト、扇形などの幾何学模様と、ブラック、ゴールド、シルバーなどを使い、1920年代から1930年代の装飾美を服へ取り入れるスタイルです。フラッパースタイルとは同じ1920年代を共有し、ビーズ刺繍や幾何学模様のイブニングドレスでは両者が強く重なります。ただし、アールデコ風の中心は建築や装飾芸術にも共通する幾何学的なデザインであり、ドロップウエストやフラッパーという女性文化は必須ではありません。フラッパースタイルでは服の直線的な形と1920年代の若い女性像が中心となります。

オールドハリウッド

オールドハリウッドのコーディネート例

オールドハリウッドは、1930年代から1950年代の映画女優を思わせるサテンのロングドレス、身体へ沿うライン、艶のあるヘアスタイルなどを使う華やかなスタイルです。映画文化や夜のドレス、洗練された装飾という点ではフラッパースタイルとつながりますが、シルエットは大きく異なります。フラッパーではウエストを目立たせず筒状に落とすのに対し、オールドハリウッドではバイアスカットなどによって胸、ウエスト、ヒップの曲線を滑らかに見せます。1920年代のボーイッシュな直線から、1930年代以降の成熟した曲線へ移った違いが分かりやすい比較点です。

エドワーディアン

エドワーディアンのコーディネート例

エドワーディアンは、1900年代を中心に、高い襟、長いスカート、レースブラウスなどを使った古典的なスタイルです。フラッパースタイルより少し前の時代に位置し、両者を比較すると1920年代に起きた女性服の変化が分かります。エドワーディアンではウエストや胸を整え、身体を覆う丈の長い服が中心ですが、フラッパーではウエストを解放し、スカート丈を短くし、腕や脚を以前より見せる方向へ進みました。フラッパースタイルは、こうした前時代の女性服から大きく離れたこと自体が重要な特徴です。

ニュールック

ニュールックのコーディネート例

ニュールックは、1940年代末から1950年代に、細く絞ったウエストと大きく広がるスカートによって女性らしい曲線を強調したスタイルです。フラッパースタイルとは歴史的な女性シルエットを比較するうえで対照的です。フラッパーでは胸やウエストの凹凸を目立たせず、肩から裾までを直線的に落とします。ニュールックでは逆にウエストを強く絞り、スカートの布量を増やします。どちらもその時代の女性像を象徴する服装ですが、身体を直線化する1920年代と、曲線を再び強調する1950年代という違いがあります。

グラマラスファッション

グラマラスファッションとは?

グラマラスファッションは、身体のライン、華やかな素材、ヒール、存在感のあるアクセサリーなどを使い、女性らしい艶やかさを強く見せるスタイルです。ビーズやスパンコールを大量に使ったフラッパーのイブニングドレスは、表面的にはグラマラスな印象を持ちます。ただし、グラマラスファッションでは身体の曲線を見せることが多いのに対し、フラッパースタイルでは装飾が豪華でも身頃そのものは直線的です。華やかさを身体の曲線で表すか、筒状の服へ光る装飾を重ねるかが違いになります。

1920年代らしさを決める服とディテール

ウエストを絞らないストレートドレス

肩から腰へ向かって布を大きく絞らず、胸、ウエスト、ヒップの差を目立たせない直線的なワンピースを使います。

現代のボディコンのように身体へ密着させたり、1950年代風にウエストを強く絞ったりすると、フラッパースタイルから離れます。身体の周囲に少し余白を残し、縦へすとんと落ちることが重要です。

腰骨付近まで下げたドロップウエスト

切り替え、ベルト、刺繍などの位置を自然なウエストより低くし、腰付近に横線を作ります。

この低いウエスト位置によって胴が長く見え、1920年代特有のボーイッシュで縦長な比率が生まれます。すべての1920年代ドレスが極端なドロップウエストだったわけではありませんが、時代を視覚的に示す代表的なディテールです。

膝下から膝付近までの軽快な丈

1920年代の中でスカート丈は変化しましたが、以前の時代と比べて足元が大きく露出するようになったことが重要です。

現在の再現では膝丈を使うとフラッパーの印象を伝えやすくなります。極端なマイクロミニより、直線的なドレスとの組み合わせによって1920年代らしい軽快さを示します。

ビーズ・スパンコール・刺繍

イブニングドレスでは、ガラスビーズ、スパンコール、ラインストーン、金銀糸などを使います。

装飾を身体の曲線に沿わせるのではなく、縦線、ジグザグ、扇形、幾何学模様として配置すると、当時のアールデコ的な感覚ともつながります。

ダンスで動くフリンジ

長いフリンジを裾や身頃へ付け、歩いたり踊ったりするたびに揺らします。

フリンジは現在の「フラッパー衣装」を象徴する要素ですが、歴史的なフラッパースタイルすべてに必要なものではありません。夜の華やかな装いを再現するときに特に効果を発揮します。

Tストラップシューズと長いアクセサリー

足元にはTストラップやメリージェーン型のパンプスを合わせ、長いパールネックレスやビーズネックレスを垂らします。

クロッシェハットや細いヘッドバンドなども使われます。服が単純な直線形だからこそ、顔まわりや首元の小物によって1920年代らしさを補います。

昼と夜で異なる代表的な着こなし

ローウエストのデイドレス

ネイビーやくすんだグリーンの無地のシルククレープワンピースを使い、身頃は身体から少し離したストレート型にします。

腰骨付近に細い切り替えを置き、スカートは膝下までの丈にします。足元にはTストラップパンプス、頭にはクロッシェハットを合わせます。ビーズやフリンジを大量に使わなくても、直線、低い腰位置、丈によって日中の1920年代スタイルを表せます。

ビーズ刺繍のイブニングドレス

ブラックの膝丈ストレートドレスへ、ゴールドやシルバーのビーズをジグザグや扇形に刺繍します。

ウエストは絞らず、腰付近に装飾の切り替えを置きます。長いパールネックレス、メタリックなTストラップシューズ、小さなクラッチバッグを合わせると、ジャズエイジの夜を思わせる華やかなフラッパースタイルになります。

フリンジを使ったダンスドレス

深いレッドやブラックのノースリーブドレスに、腰または胸下から複数段のフリンジを付けます。

ドレス本体は直線的に保ち、身体を動かしたときだけフリンジが大きく揺れる構成にします。ビーズのヘッドバンドと細いヒールを合わせることで、現在もっとも認識されやすいパーティー寄りのフラッパースタイルになります。

現在は1920年代を示す歴史的スタイルとして再解釈される

フラッパーという名称は現在も通じますが、現代の日常着として独立した大規模トレンドになっているわけではありません。

現在「フラッパースタイル」と呼ばれる場合は、1920年代を再現するファッション、パーティー衣装、舞台衣装、イブニングウェア、アールデコを取り入れたドレスなどを指すことが中心です。

一方、フラッパーの要素は歴史の中で何度も再解釈されています。Museum at FITは、1960年代にも1920年代のドロップウエストやフリンジを引用した「フラッパー・リバイバル」が見られたことを紹介しています。

現在も、ローウエストドレス、直線的なシフトドレス、ビーズ刺繍、Tストラップシューズなどは、1920年代を直接再現しなくても個別のデザイン要素として使われています。

そのため、現在のフラッパースタイルは「昔の衣装として完全に消えたスタイル」ではありません。名称としては1920年代の歴史性を強く持ちながら、直線的なシルエットやローウエスト、アールデコ装飾などが、イブニングドレスやレトロファッションへ継続的に引用されるスタイルと位置づけられます。

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