リゾートファッションとは、旅行や海辺での休暇に似合う、軽やかで開放感のあるファッションスタイルのことです。
非日常のゆとりを表現するリゾートスタイル

リゾートファッションは、海辺、避暑地、ホテル、旅行先などで心地よく過ごすための実用性と、日常から離れた華やかさを両立するスタイルです。風を通すワンピース、ゆったりしたパンツ、リネンシャツ、サンダルなどを使い、身体を締めつけない軽やかなシルエットを作ります。
世間的には、上品、開放的、リラックスしている、旅慣れて見えるといった印象を持たれやすいテイストです。大胆な柄や鮮やかな色も使われますが、街着よりも布の揺れや肌の見せ方に余裕があり、自然や建築、光のある風景と調和することが重視されます。
海辺の旅行だけでなく、ホテルランチ、クルーズ、野外イベント、夏の街歩き、休日の外出などにも取り入れられます。20代から60代まで幅広く楽しめ、素材や露出量を調整することで、カジュアルからエレガントまで表現できるスタイルです。
避暑地の休暇服から広がったリゾートウェアの歴史
19世紀後半|海水浴と避暑地文化の発展
リゾートファッションの背景には、19世紀後半のヨーロッパやアメリカで広がった海水浴、温泉地、避暑地への旅行があります。当時の旅行は限られた階層の余暇でしたが、都市の日常服とは異なる、休養地に適した軽い服装が必要とされるようになりました。
女性は長いドレスや帽子、男性は軽いジャケットや白いパンツなどを着用し、礼儀を保ちながらも、都市の正装より涼しく動きやすい装いが選ばれました。この「休暇のために服を替える」という考え方が、後のリゾートウェアにつながります。
1920〜1930年代|海辺の装いが自由になる
第一次世界大戦後は、女性の社会参加や余暇の過ごし方が変化し、服装も簡略化されました。短くなったスカート、水着、ワイドパンツ、軽いニットなどが、海辺やクルーズで着る服として広がります。
ココ・シャネルが広めたマリン調のニットやパンツスタイルも、休暇先での活動的な女性像と結びつきました。肌を日光にさらすことや日焼けした姿も、徐々に健康的で余裕のあるライフスタイルとして捉えられるようになります。
1940〜1950年代|リゾートウェアが独立した服の分野へ
航空旅行や観光産業が成長すると、暖かい地域への休暇が憧れとして広まりました。アメリカでは、リゾート地や南国をイメージしたシャツ、ドレス、水着、ショートパンツなどが展開され、リゾートウェアが一つの市場として形を整えます。
1950年代には、ウエストを示したサマードレス、鮮やかなプリント、サングラス、かごバッグなどが、優雅な休暇を象徴する装いとなりました。映画スターが南仏やイタリアの海辺で見せた私服も、リゾートファッションの華やかなイメージを広めています。
1960〜1970年代|ジェットセットと異文化の影響
海外旅行が身近になると、地中海、カリブ海、ハワイ、北アフリカなど、各地の色や柄がリゾートウェアへ取り入れられました。カフタン、チュニック、マキシドレス、プリントパンツなど、身体を締めつけない服が人気を集めます。
ヒッピーやボヘミアン文化の影響もあり、刺繍、民族柄、天然素材、ビーズなどを使った自由なリゾートスタイルが広がりました。都市のルールから離れ、旅先で開放的に装うことが、自己表現としても意識されるようになります。
1980〜1990年代|ラグジュアリーリゾートとブランド化
1980年代以降は、高級ホテル、クルーズ、ビーチリゾートなどの発展に伴い、リゾートファッションにも洗練された高級感が求められました。
鮮やかなプリントのドレス、白いパンツ、金属アクセサリー、上質なサンダルなどが使われ、カジュアルな海辺の服と、夕食やパーティーに対応する服が分けて考えられるようになります。
一方、1990年代にはシンプルなキャミソールドレスやリネン服も広がり、装飾を抑えた都会的なリゾートスタイルも定着しました。
2000年代以降|旅行以外の日常着へ拡大
2000年代以降は、マキシワンピース、オールインワン、柄パンツ、フラットサンダルなどが、旅行だけでなく夏の日常着としても広く使われるようになりました。
SNSの普及後は、ホテル、カフェ、海辺、街並みなど、旅先の景色と服を一体で見せる傾向が強まりました。地中海の夏を表現するトマトガールや、海辺の別荘生活を思わせるコースタルグランマなど、特定の風景や暮らしを細かく表現する関連テイストも生まれています。
現在は、華やかな南国柄だけでなく、白、ベージュ、ネイビー、リネン素材を使った落ち着いた装いまで、リゾートファッションの範囲が広がっています。
旅と海辺の空気から広がる関連テイスト

天然素材や穏やかな色を使い、自然体で心地よくまとめる広いスタイルです。リゾートファッションは、そこへ旅行先での開放感や非日常的な華やかさを加えます。

白、ネイビー、ボーダー柄などを使い、港や海辺の爽やかさを表現します。リゾートよりも配色や柄が端正で、日常の街着としても取り入れやすいスタイルです。

水兵服や海軍制服に由来するセーラーカラー、金ボタン、ネイビーなどを使います。自由なリゾートファッションよりも、制服的でクラシカルな印象が強くなります。

Tシャツ、ボードショーツ、スウェット、サンダルなどを使い、海辺の活動的で健康的な暮らしを表現します。リゾートよりもカジュアルで、スポーツや若者文化との関係が深いスタイルです。

リネンシャツ、ニット、ワイドパンツなどで、海辺の別荘に似合う上質で穏やかな装いを作ります。リゾートファッションの中でも、華やかさより落ち着いた暮らしや余裕を重視します。

赤、白、ギンガムチェック、花柄などを使い、地中海の夏や市場を思わせる明るい装いを表現します。リゾートの中でも、陽気で素朴な南欧のイメージを強調するスタイルです。

刺繍、フリンジ、民族柄、ロング丈などを使い、自由な旅や芸術家を思わせる装いを作ります。リゾートと開放感は共通しますが、ボヘミアンのほうが装飾的で放浪的な雰囲気が強くなります。

ボヘミアンの柄や装飾を、都会的な服や上質な小物で整えたスタイルです。リゾートファッションの華やかさと日常での着やすさを両立しやすい関連テイストです。

民族衣装に見られる刺繍、織り柄、色彩などを取り入れます。リゾートファッションに民族柄やカフタンを加えると、異国情緒の強い方向へ変化します。

カーキやベージュ、ポケット、ベルトなどを使い、探検服の機能性を表現します。リゾートと旅のイメージは共通しますが、サファリは実用的で力強い印象が中心です。
リゾートスタイルを象徴する人物・作品・ブランド
ココ・シャネル
海辺で着るマリン調のニットやパンツを女性服へ取り入れ、休暇先でも活動的に過ごせる装いを広めました。
ブリジット・バルドー
南フランスで見せた軽いドレス、水着、サンダルなどにより、自由で色気のある地中海リゾートのイメージを象徴しました。
グレース・ケリー
モナコや南仏で見せたドレス、スカーフ、サングラスなどを通して、上品でクラシカルなリゾートスタイルを印象づけました。
ジャクリーン・ケネディ
カプリパンツ、ノースリーブトップス、大きなサングラスなどで、洗練された休暇服のイメージを広めました。
エミリオ・プッチ
鮮やかな幾何学柄と流れるようなドレスを通して、華やかで軽快なラグジュアリーリゾートを象徴しました。
ミッソーニ
多色のニットやジグザグ柄によって、海辺や避暑地に似合う柔らかく豊かな色彩のスタイルを築きました。
Zimmermann
花柄、透け素材、流れるようなドレスを使い、ロマンティックで現代的なリゾートウェアを代表しています。
Vilebrequin
南仏サントロペで生まれたブランドとして、鮮やかな柄のスイムウェアや軽快な休暇服を展開してきました。
Ron Herman
西海岸のリラックス感に上質なカジュアルを組み合わせ、都市でも楽しめるリゾートスタイルを広めています。
映画『太陽がいっぱい』
地中海の海、ヨット、白いシャツ、軽いパンツなどを通して、洗練と退廃が同居するヨーロッパの休暇スタイルを印象づけました。
リゾート感を作る定番アイテムと色使い
- マキシワンピース・サマードレス:風を受けて揺れる布と身体を締めつけない形が、休暇らしい開放感と華やかさを一着で表現します。
- リネンシャツ・ワイドパンツ・オールインワン:通気性とゆとりのあるシルエットによって、暑い地域でも快適で洗練された装いを作ります。
- サンダル・かごバッグ・ストローハット:自然素材と肌の見える足元が軽さを加え、街着を海辺や旅行先に似合う雰囲気へ変えます。
- カフタン・柄パンツ・水着の上に着る羽織り:大胆な柄やゆったりした形によって異国情緒を加え、ビーチからホテルまで移動しやすい装いを作ります。
- 白・ブルー・ベージュ・鮮やかな南国色:白や砂色を土台に、ターコイズ、コーラル、赤、グリーンを加え、花柄、ボタニカル柄、幾何学柄で非日常的な華やかさを表現します。
開放感を日常になじませる着こなし
リゾートファッションを現代的に見せるには、南国柄や自然素材の小物を重ねるより、風を含むシルエットと軽い素材で開放感を作ることが大切です。マキシワンピース、ワイドパンツ、リネンシャツなどを取り入れ、身体を締めつけすぎない形にまとめます。
柄物を使う場合は、バッグや靴を無地にして服を主役にします。反対に無地の服では、かごバッグ、金属アクセサリー、レザーサンダルなどを加えると、普段着との差が生まれます。
肌見せは肩、背中、脚のいずれか一か所に絞り、薄手のシャツやカーディガンを重ねられるようにすると、街や室内でも着やすくなります。色は白、ベージュ、ブルーを土台に、コーラルやグリーンなどを差し色として加えると、明るさを保ちながらまとまります。
足元やバッグを端正なデザインに替えれば、同じワンピースでも海辺から街中まで対応できます。リゾートらしい軽さを残しつつ、素材、露出、小物のどこかに都会的な要素を加えることが、旅行着に見せないポイントです。
大人世代が取り入れるときのポイント
大人世代は、適度な厚みや落ち感のある素材を選び、身体の線を拾いすぎない形にすると上品です。華やかな柄や色は一か所に絞り、レザーバッグやシンプルなサンダルで整えると、余裕のあるリゾートスタイルに仕上がります。
リゾートファッションの関連タグ
- ナチュラルファッション
- マリンスタイル
- ノーティカルスタイル
- サーフファッション
- コースタルグランマ
- トマトガール
- ボヘミアン
- ボーホーシック
- エスニックファッション
- サファリルック
- マキシワンピース
- リネンシャツ
- ワイドパンツ
- かごバッグ
- ボタニカル柄



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