ウィムジゴシックとは、魔女を思わせる神秘的なモチーフに、ゴシックの暗さと気まぐれな幻想性を組み合わせたファッションスタイルのことです。
夜空と魔法をまとった柔らかなゴシック

ウィムジゴシックは、黒、深い紫、ボルドー、エメラルドグリーンなどの濃い色に、月、太陽、星、クリスタルといった神秘的なモチーフを組み合わせるスタイルです。ベルベットやシアー素材、揺れるロングスカートなどを使い、ゴシックの暗さを残しながら、夢の中の魔女を思わせる自由で遊び心のある雰囲気を表現します。
重厚な黒一色でまとめるよりも、宝石のような色、光沢、透け感、天体柄を重ねる点が特徴です。ゴシックファッションほど荘厳で硬くなく、ウィッチー系よりも1990年代風の装飾性やロマンティックな色使いが目立ちます。街着のほか、ライブ、フェス、撮影、秋冬の装いなど、幻想的なムードを楽しみたい場面で取り入れられています。
1990年代の魔女像を再発見した背景
ウィムジゴシックは、1990年代前後の映画、テレビドラマ、音楽、インテリアなどに見られた、神秘的で少し風変わりな美意識を再評価する流れから注目されたスタイルです。流れるような服、ベルベット、天体柄、深い宝石色などが、当時の魔女を題材とした作品やボヘミアンな装いと結びついています。
現在使われる「whimsigoth」や「whimsigothic」という名称は、whimsicalとgothicを組み合わせた比較的新しい呼び方です。2020年頃に過去のデザインや映像を分類する言葉として使われ始め、その後、TikTokなどのSNSを通じてファッションやインテリアの名称として広まりました。
新しく服装そのものが誕生したというより、1990年代に見られた魔女風、ボヘミアン、ゴシック、ニューエイジ的な表現を、現代の視点でひとつのテイストとしてまとめ直したものです。そのため、厳密な服装規則を持つファッションではありません。
幻想性の方向が異なる近いテイスト

黒や深い色、重厚な素材、宗教建築を思わせる装飾で、暗く荘厳な美しさを表現します。ウィムジゴシックは、ゴシックの暗さを残しながら、天体柄や宝石色で軽やかな魔法性を加えます。

黒や深い色、ロング丈、天然石などを使い、魔女を思わせる神秘的な装いをつくります。ウィムジゴシックは、より鮮やかな色や1990年代風の柄を使い、気まぐれで装飾的にまとめる傾向があります。

ゴスの黒やダークな小物を減らし、日常着として柔らかく取り入れるスタイルです。ウィムジゴシックは、天体や魔法を思わせるモチーフを使い、幻想的な物語性を強く見せます。

黒や深い色に、レース、花柄、シアー素材を組み合わせ、感傷的で儚い美しさを表現します。ウィムジゴシックは、花よりも月や星などの天体モチーフが目立ち、より不思議で遊び心のある印象です。

ベルベット、レース、コルセットなどを重ね、退廃的で豪華な美しさを表現します。ウィムジゴシックは、官能性や倦怠感よりも、魔法、占星術、夜空を思わせる幻想性を中心にします。

古い大学、文学、図書館を思わせる知的で暗いスタイルです。色使いは近いものの、ダークアカデミアはジャケットやシャツを使う端正な装いで、ウィムジゴシックは布の揺れや神秘的な装飾を重視します。

レース、花柄、柔らかな素材によって、夢のある甘さを表現します。ウィムジゴシックでは、その柔らかさを深い色や天体モチーフと組み合わせ、夜のような幻想性へ変化させます。
魔女のようなムードを形づくった作品と人物
『ザ・クラフト』
1990年代の若者ファッションと魔女の物語を結びつけた映画です。制服風の服、黒いレイヤード、チョーカーなどは、ウィムジゴシックの少し反抗的な側面を連想させます。
『プラクティカル・マジック』
日常生活の中に魔法が存在する世界を描いた作品です。柔らかなワンピース、深い色、自然を感じさせる装いは、穏やかなウィムジゴシックのイメージと重なります。
『サブリナ』
魔女である主人公の日常を描いた1990年代のテレビドラマです。当時のカジュアル、ベルベット、ミニ丈、天体を思わせる装飾などが、このテイストの参照元として挙げられます。
Stevie Nicks
長く揺れるスカート、透ける袖、ショール、ベルベットなどを使った神秘的なステージスタイルで知られています。ボヘミアンな軽さと魔女のような雰囲気を結ぶ象徴的な存在です。
Anna Sui
花柄、ベルベット、シアー素材、ヴィンテージ調の装飾を自由に混ぜ、ロマンティックで幻想的なコレクションを展開してきたブランドです。色彩豊かなウィムジゴシックを考える際の参考になります。
Betsey Johnson
黒や紫、レース、花柄などを使いながら、遊び心のある装飾的なファッションを提案してきたデザイナーです。重くなりすぎない、気まぐれなゴシック表現と重なります。
星明かりのような装いをつくる定番要素
ベルベットのトップスやワンピース
深い色と柔らかな光沢によって、夜のような奥行きをつくる素材です。身体に沿うトップスやキャミソール、揺れるワンピースに使うと、1990年代らしい神秘的な雰囲気が生まれます。
ロングスカートやフレアパンツ
動いたときに布が揺れる形は、魔法使いや占い師を思わせる自由な印象につながります。裾が広がるシルエットを選ぶことで、硬質なゴシックとの差が明確になります。
月・太陽・星のモチーフ
天体柄の服、月形のペンダント、星のピアスなどは、ウィムジゴシックを伝えやすい要素です。服全体を柄物にせず、小物だけに取り入れても幻想的な雰囲気を加えられます。
シアー素材とレース
透ける袖やレースの重なりによって、暗い色の服に軽さを加えます。整った上品さよりも、重ね着による複雑な陰影を見せると、このテイストらしくまとまります。
紫・ボルドー・エメラルドグリーン・濃紺
黒だけでなく、宝石を思わせる深い色を組み合わせることが特徴です。ゴールドやシルバーの刺繍、ラメ、光沢を少量加えると、夜空のようなきらめきを表現できます。
神秘性と遊び心を両立させる見せ方
ウィムジゴシックらしさを伝えるには、天体モチーフ、宝石色、揺れるシルエットのうち、ひとつを主役にするとまとめやすくなります。月や星の柄を使う場合は服の形をシンプルにし、無地の服ではベルベットやシアー素材を重ねて奥行きをつくります。
ゴシックとの差を出すには、全身を黒一色にせず、紫、深緑、濃紺などを取り入れることがポイントです。金属装飾も十字架や鋲だけに偏らず、月、太陽、天然石、曲線的なアクセサリーを選ぶと、柔らかな魔法性が生まれます。
日常着では、ベルベットのトップスにフレアパンツを合わせる、暗い花柄のワンピースに月形のアクセサリーを加えるなど、神秘的な要素を一か所に絞ると自然です。
チュール、レース、星柄、天然石をすべて重ねると、装飾が競い合って仮装のように見える場合があります。柄を主役にするのか、素材感を主役にするのかを決め、残りの要素を抑えることが大切です。
ウィッチー系やゴシックとの違い
ウィムジゴシックは、魔女の衣装をそのまま再現するスタイルではありません。尖った帽子やマントなどをそろえるのではなく、天体柄、ベルベット、深い色、揺れる服を通して、日常の装いに魔法の気配を加えます。
ウィッチー系とは多くの要素が重なりますが、ウィッチー系は黒、天然素材、植物、鉱石などを使い、静かで神秘的にまとめる場合があります。ウィムジゴシックは、1990年代風の光沢、柄、宝石色を取り入れ、より装飾的で気まぐれな印象を見せます。
ゴシックファッションと比べると、荘厳さや重厚感は控えめです。黒いレザー、十字架、厚底靴を強くするとゴスやゴシックへ近づき、花柄や淡い色を増やしすぎるとロマンティックファッションやボヘミアンに見えやすくなります。
また、月や星のアクセサリーを使うだけでは、必ずしもウィムジゴシックにはなりません。深い色、柔らかな素材、少し古びた1990年代風の空気を組み合わせ、暗さと遊び心を同時に感じさせることがこのテイストの核です。
関連タグ
- ゴシックファッション
- ウィッチー系
- ソフトゴス
- ダークロマンティック
- デカダンス
- ダークアカデミア
- ロマンティックファッション
- ベルベット
- シアー素材
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- 天体柄
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