バブルファッション

バブルファッションのコーディネート例 ファッションテイスト・カルチャー
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バブルファッションとは、大きな肩を作るジャケット、身体の線を強調するタイトな服、鮮やかな色、光沢や金色の装飾、高級感のある小物を組み合わせ、1980年代後半の日本の好景気を背景に広がった華やかなファッションスタイルのことです。

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ひとつの服装ではなくバブル期を象徴する広い呼び方

バブルファッションとは?

バブルファッションは、特定の一種類のワンピースやスーツだけを指す名称ではありません。日本のバブル景気が拡大した1980年代後半を中心に、都市で働く女性のスーツ、華やかな外出着、ボディコン、ブランド志向など、当時の消費文化を反映した服装をまとめて説明するときに使われる言葉です。

代表的なのは、肩パッドで肩幅を広く見せたジャケット、ウエストを絞ったスーツ、タイトスカート、身体へ密着するワンピースです。黒、白、赤、ロイヤルブルー、パープルなど輪郭のはっきりした色に、ゴールドのボタンや大ぶりなアクセサリー、革のバッグ、ハイヒールなどを合わせました。

ただし、「バブルファッション=ボディコン」ではありません。ボディコンはバブル期を象徴する一つのスタイルですが、肩の大きなスーツ、コンサバティブなワンピース、高級ブランドを意識した装いなども同時期に存在しています。

資生堂が1989年から1993年の女性ファッションを振り返った資料でも、この時期を「昭和名残のバブルゴージャス」とし、本物志向・高級志向が高まる一方、ボディコン、渋カジ、コンサバティブな服装が併存していたと説明しています。

大きな肩と細いウエストが生んだ強いシルエット

バブルファッションを見分けるうえで最も特徴的なのが、上半身とウエストの強い対比です。

肩パッドを入れたダブルジャケットでは肩線を左右へ大きく広げ、ウエストをベルトやダーツで絞ります。タイトスカートを合わせれば、肩から腰へ急激に細くなる逆三角形の上半身と、身体へ沿う下半身が組み合わさります。

1980年代の海外ファッションでもパワースーツは重要で、Vogueは誇張されたショルダー、ダブルブレスト、強い色などを当時を象徴する要素として挙げています。

日本ではこうした80年代的な肩の強調に、バブル期特有の高級志向、タイトな女性服、ブランドバッグ、華やかな夜の服装が重なりました。そのため、同じ肩パッド入りジャケットでも、黒一色で前衛的にまとめるカラス族や、仕事服として機能性を重視するパワードレッシングとは見え方が異なります。

1980年代後半の好景気が服の華やかさを押し上げた

1980年代の日本では、前半からDCブランドブームなど、デザイナーズファッションへの関心が高まっていました。1981年にはコム デ ギャルソンやヨウジヤマモトがパリで注目され、国内では黒を基調としたカラス族なども登場しています。

ただし、バブルファッションの中心は、それら1980年代前半のモードとは少し異なります。

1980年代後半になると、景気の拡大とともに海外旅行、高級ブランド、ホテル、レストラン、夜の社交場などへの消費が活発になり、服にも「高そうに見えること」「華やかに見えること」が反映されました。

女性の社会進出を背景に、昼は肩を張ったスーツ、夜はタイトなワンピースや華やかなドレスというように、場面によって強さと女性らしさを使い分ける装いも見られました。

ボディコンシャスな服そのものは海外でも1980年代に大きく注目されており、アズディン・アライアによる身体へ密着するストレッチ素材の服は、その代表例として知られています。日本ではこうした身体を見せる服装がバブル期のナイトファッションと結びつき、「ボディコン」という独自の時代イメージを形成しました。

1988年から1991年頃に最盛期を迎える

バブルファッションの最盛期は、一般に1980年代後半から1990年代初頭、特に日本のバブル景気が最高潮に達した1988年から1991年頃と重なります。

1989年の平成元年前後には、身体へ密着するボディコン、鮮やかな口紅、高級志向、華やかなアクセサリーなどが強く認識されるようになりました。資生堂の資料でも、1989年から1993年の前半をバブルの絶頂期に続くゴージャスな時代として扱っています。

一方、同時期には渋カジのような、紺ブレザー、ジーンズ、ローファーを合わせる比較的カジュアルな服装も広がっていました。つまり、当時の若者全員が肩パッドとボディコンを着ていたわけではありません。

1991年頃からバブル経済が崩壊すると、高級感や派手さを前面に出した服装は次第に時代遅れと見なされるようになります。1990年代にはミニマル、ストリート、カジュアルなど別方向のスタイルが強まり、典型的なバブルファッションは急速に歴史的な装いへ移行しました。

バブルファッションと近いテイストの違いとつながり

ボディコン

ボディコンのコーディネート例

ボディコンは、胸、ウエスト、ヒップへ沿うタイトなワンピースやスーツによって身体の曲線を強調するスタイルです。バブル期の華やかな女性像を象徴したため、バブルファッションと非常に強く結びついています。ただし、バブルファッション全体がボディコンだったわけではありません。肩パッド入りのジャケットやゆとりのあるブラウスなど、身体へ密着しない服も含まれます。バブルファッションが時代全体の華やかな装いを指す広い名称なのに対し、ボディコンは身体へ沿うシルエットそのものを中心にした、より範囲の狭いスタイルです。

パワードレッシング

パワードレッシングのコーディネート例

パワードレッシングは、肩を強調したテーラードジャケットやスーツ、端正なシャツ、パンプスなどを使い、服装によって自信、権威、社会的な存在感を示すスタイルです。1970年代末から広がり、女性の社会進出が進んだ1980年代に、肩パッド入りのパワースーツを代表として最盛期を迎えました。大きな肩と絞ったウエストはバブルファッションにも取り込まれていますが、パワードレッシングは本来、好景気やナイトライフを表す服装ではなく、仕事や社会的な場で「強く見せる」ことに重点があります。バブルファッションでは、そこへ鮮やかな色、大ぶりなアクセサリー、高級ブランド志向、ボディコンなどが重なり、1980年代後半の日本特有の華やかな装いへ広がりました。

DCブランド系

DCブランド系のコーディネート例

DCブランド系は、1980年代の日本で広がったデザイナーズ&キャラクターズブランドを中心とするファッションです。大きなシルエット、強い色、構築的なジャケットなど、バブルファッションと外見が重なる場合があります。ただし、DCブランドブームは1980年代前半から存在し、デザイナー独自の思想や造形性を楽しむことが中心でした。バブルファッションは1980年代後半の好景気や消費文化と結びついた時代服であり、ブランド物でもデザイナーの前衛性より「華やかさ」「高級感」「社会的な成功」を感じさせる方向が強くなります。

カラス族

カラス族のコーディネート例

カラス族は、1980年代前半の日本で、黒一色の服、大きな布量、アシンメトリーなどを使った前衛的なモードスタイルです。DCブランド文化と同時代にあり、大きなシルエットという点では後のバブルファッションと接点があります。しかし、見せたい価値観はほぼ反対です。カラス族では色や装飾を削り、身体の形を隠す服も多く使います。バブルファッションでは赤やロイヤルブルー、ゴールドなどを使い、肩や身体の曲線を積極的に強調します。同じ1980年代日本でも、前衛的な黒のモードか、好景気を感じさせる華やかな服装かで区別できます。

コンサバファッション

コンサバファッションのコーディネート

コンサバファッションは、流行を極端に追いすぎず、ジャケット、ブラウス、スカート、パンプスなどを上品にまとめるスタイルです。バブル期にもコンサバティブな女性服は広く着られており、タイトスカートやパンプス、高級感のあるバッグなどはバブルファッションと共有されました。ただし、コンサバファッションは1980年代以降も継続する広いスタイルで、肩パッドや派手色を必要としません。バブルファッションでは、同じ端正な服でも肩を大きくしたり、ゴールドボタンや鮮やかな色を加えたりして、時代特有の強さと華やかさを前面に出します。

ラグジュアリーファッション

ラグジュアリーファッションのコーディネート例

ラグジュアリーファッションは、高品質な素材、ブランド、仕立て、存在感のあるバッグやジュエリーなどによって高級感を表す広いスタイルです。バブル期には本物志向や高級ブランドへの関心が強まり、両者は大きく重なりました。ただし、ラグジュアリーファッションは現在まで続き、静かな色やロゴを抑えた服でも成立します。バブルファッションでは高級であるだけでなく、大きな肩、鮮やかな色、金色の装飾などを使い、「豊かさが外から見えること」が特徴でした。控えめな高級感ではなく、時代の勢いまで視覚化する点が異なります。

渋カジ

渋カジのコーディネート例

渋カジは、1980年代末から1990年代に渋谷の若者を中心に広がった、ジーンズ、紺ブレザー、スウェット、革靴などを使うアメリカンカジュアル系のスタイルです。バブルファッションとほぼ同時期に存在しましたが、服装の方向は大きく異なります。バブルファッションが肩パッド、タイトスカート、ハイヒール、高級感を強調するのに対し、渋カジではデニムやTシャツなど日常的な服を使います。同じ1980年代末の日本を理解するうえで、華やかな大人の都市服と、若者主体のカジュアルという対照的な存在です。

バブル期らしさを示す服・色・小物

肩パッド入りの大きなジャケット

ダブルブレストや長め丈のジャケットへ厚い肩パッドを入れ、実際の肩幅より左右へ大きく張り出させます。

インナーやスカートを身体へ沿わせることで、肩の幅がさらに強調されます。単なるオーバーサイズとは異なり、肩線を意図的に水平または上向きへ整えることが重要です。

ウエストを絞ったタイトな下半身

ジャケットの腰をベルトやダーツで締め、ボトムスにはタイトスカートを合わせます。

肩を大きくしながら腰を細く見せることで、1980年代らしい強いプロポーションが生まれます。ボディコン寄りではジャケットを使わず、ワンピース一枚で胸からヒップまで身体へ沿わせます。

鮮やかな色と黒・白の強いコントラスト

レッド、ロイヤルブルー、パープル、エメラルドなどの強い色が使われます。

黒や白と組み合わせて色の境界を明確にしたり、上下を同じ原色でそろえたりします。生成りや曖昧なくすみ色より、遠くから見ても認識できる色面を作る方がバブル期らしい華やかさにつながります。

ゴールドボタンと大ぶりなアクセサリー

金色のボタン、太いチェーン、イヤリング、バングル、ブローチなど、光を反射する装飾を加えます。

アクセサリーを完全に繊細にすると現在のきれいめファッションへ近づくため、耳元や首元など一か所でも大きな装飾を見せることで時代性が強まります。

ブランド感のあるバッグとハイヒール

かっちりしたレザーバッグやチェーンバッグを持ち、足元にはパンプスや細いハイヒールを合わせます。

服が華やかでも、ナイロンバッグやフラットスニーカーへ替えるとバブル期のイメージは弱くなります。小物まで「きちんと高級に見える」ことが当時の特徴でした。

バブルファッションを理解しやすい代表的な着こなし

肩パッドジャケットとタイトスカート

鮮やかな赤またはロイヤルブルーのダブルジャケットに厚めの肩パッドを入れ、同色の膝丈タイトスカートを合わせます。

インナーは黒のシンプルなトップスとし、ゴールドボタン、大ぶりなイヤリング、黒いパンプス、スクエア型のレザーバッグを加えます。仕事服と華やかさが同居する、バブル期を象徴しやすいスーツスタイルです。

黒のボディコンワンピースとゴールド小物

黒いタイトなミニワンピースに、細いハイヒールを合わせます。

首元または耳元には大ぶりなゴールドアクセサリー、手元にはチェーン付きバッグを置きます。肩の大きなスーツとは異なりますが、身体を強調する服と高級感のある小物によって、バブル期のナイトファッションを明確に表せます。

白ジャケットと原色スカート

肩を大きく見せる白いテーラードジャケットに、ロイヤルブルーや赤のタイトスカートを合わせます。

ウエストには太めのベルト、足元にはポインテッドトゥのパンプスを加えます。黒を多用せず、明るい色と金具で景気のよい華やかさを見せる昼の外出着として成立します。

現在は「バブル期」を示す歴史的なスタイル

バブルファッションという名称は、現在の一般的な日常着を分類する言葉としてはほとんど使われていません。

現在この名称を使う場合は、1980年代後半の日本を振り返るテレビ番組、イベント、衣装、レトロ企画など、特定の時代を再現する意味が中心です。

一方で、服装を構成していた要素まで消えたわけではありません。肩パッド入りジャケット、鮮やかな色、大ぶりなゴールドアクセサリー、身体へ沿うドレスなどは、時代ごとに形を変えて繰り返し登場しています。

2024年秋のランウェイでも、Saint Laurent、Balmain、Schiaparelliなどが大きな肩を持つ1980年代風スーツを再解釈しており、Vogueはパワーショルダーの再浮上を取り上げています。

ただし、これは「バブルファッションそのものが再流行した」という意味ではありません。現在の大きなジャケットは、ワイドパンツ、シアースカート、フラットシューズなどと組み合わされ、1980年代後半の日本とは異なるスタイルとして着られています。

そのため、現在の位置づけは、名称としては1980年代後半を示す歴史的なファッションであり、肩の強調、原色、ゴールド、大ぶりなアクセサリーなどの個別要素だけが、現代ファッションへ繰り返し再解釈されていると考えるのが適切です。

関連タグ

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