マルキュー系とは、SHIBUYA109のブランドやショップ店員を手本に、華やかなギャル要素と女性らしいトレンドを組み合わせた2000年代のファッションスタイルのことです。
109ブランドが作った2000年代のギャルスタイル

マルキュー系は、SHIBUYA109に出店するブランドの服を中心に組み立てた、若く華やかな女性向けスタイルです。体に沿うトップス、ミニ丈のボトムス、ロングブーツ、巻き髪、強調したアイメイクなどを基本に、セクシー、甘め、カジュアル、お姉系といった複数の方向へ広がりました。
ひとつの決まった服装を指すというより、109ブランドが提案する流行を積極的に取り入れた装いの総称に近い言葉です。ブランドごとの世界観やショップ店員の着こなしが強く意識され、服だけでなく、髪型、メイク、バッグ、ネイルまでそろえることが重視されました。
現在では「マルキュー系」という名称を日常的に使う機会は減っていますが、ファッションビル、ブランド、販売員、雑誌が一体となって流行を生み出した2000年代を象徴するスタイルとして位置づけられています。
SHIBUYA109が流行の中心になった時代
渋谷のギャル文化とファッションビル
1990年代の渋谷では、コギャル、ガングロなどの若者文化が注目され、センター街や駅周辺に集まる女性たちの服装が雑誌やテレビを通じて全国へ伝えられました。
その中でSHIBUYA109は、若い女性向けブランドを一か所で見られる買い物の拠点となります。複数のショップを回り、トップス、ボトムス、靴、バッグを組み合わせる買い方が広がり、館内全体が若者の流行を示す場所として認識されるようになりました。SHIBUYA109は現在も、渋谷のトレンドを象徴する施設として紹介されています。
カリスマ店員が憧れの存在になった1990年代末
マルキュー系の流行では、ブランドの広告や芸能人だけでなく、店頭に立つショップ店員が大きな役割を担いました。服を魅力的に見せる着こなし、巻き髪、メイク、接客時の振る舞いまで注目され、一部の店員はカリスマ店員と呼ばれました。
来店客は商品だけでなく、店員が作る全身の雰囲気を参考にしました。同じトップスとスカートを購入し、髪型やアクセサリーまで似せるなど、販売員が身近なファッションアイコンとして機能していたことが特徴です。
ブランドごとに細分化した2000年代
2000年代に入ると、マルキュー系はひとつのギャル像に統一されず、ブランドごとに異なる方向へ細分化しました。黒や白を使った強めのスタイル、ピンクや花柄を使った甘いスタイル、細身の服で大人っぽく見せるお姉系、デニムを中心とするカジュアル系などが並立します。
同じSHIBUYA109で買い物をしていても、選ぶブランドによって外見は大きく異なりました。そのため、マルキュー系は特定のアイテムだけで決まるのではなく、109ブランドを中心とした買い物文化や流行への向き合い方まで含む言葉として使われました。
雑誌とブログが支えた流行
『Popteen』『S Cawaii!』『Ranzuki』『JELLY』などの雑誌では、109ブランドの新作、ショップ店員、モデルの私服、メイク方法などが紹介されました。読者は誌面を見ながら、掲載されたブランドやコーディネートを店舗で探すことができました。
2000年代後半には、モデルやショップ店員のブログも影響力を持つようになります。雑誌の発売を待たずに、新作、購入品、髪型、ネイルなどを確認できるようになり、店舗と読者の距離がさらに近づきました。
マルキュー系らしさを作った服と配色
体に沿うコンパクトなトップス
リブニット、キャミソール、ホルターネック、短丈カーディガンなど、上半身を小さく見せるトップスが多く使われました。ミニ丈や細身のパンツと合わせることで、女性らしく縦長なシルエットを作っていました。
ミニスカートとショートパンツ
デニムミニ、タイトミニ、プリーツミニ、ショートパンツは、マルキュー系を象徴するボトムスです。脚を見せる丈感に、ロングブーツやヒール靴を合わせることで、店頭や雑誌でも映える華やかなバランスが作られました。
ローライズデニムと細身パンツ
腰位置を低くしたローライズデニム、ブーツカットパンツ、スキニーパンツなども多く見られました。短いトップスや幅広ベルトを組み合わせ、腰まわりを強調する着こなしに2000年代らしさが表れています。
黒・白・ピンク・ベージュの配色
黒と白は強めで都会的な装い、ピンクと白は甘めの装い、ベージュとブラウンはお姉系の装いに多く使われました。ブランドごとに中心色は異なりますが、色の組み合わせが分かりやすく、全身に統一感があることが特徴です。
ファー・レース・アニマル柄
ファー、レース、サテン、ラインストーン、ヒョウ柄、ゼブラ柄など、華やかさの伝わりやすい素材や柄が取り入れられました。装飾を一点だけ加える場合もあれば、服、バッグ、靴まで同じ世界観でそろえる場合もありました。
109の店頭や雑誌で見られた代表コーデ
モノトーンの強めギャルスタイル
黒いホルターネックやリブニットに、白のタイトミニスカートを合わせ、黒いロングブーツを履きます。腰には幅広ベルトを付け、ヒョウ柄バッグ、ゴールドのフープピアス、大きな巻き髪を加えます。黒と白の対比が強く、店頭でも目立つ都会的なコーディネートでした。
ピンクを使った甘めマルキューコーデ
胸元にリボンやレースを付けた白いトップスに、ピンクのフレアミニスカートを合わせます。足元はリボン付きパンプスやロングブーツで、小型のハンドバッグ、花のヘアアクセサリー、巻き髪を組み合わせます。姫ギャルほど装飾を極端に増やさず、若々しい甘さにまとめるスタイルでした。
ローライズデニムのカジュアルギャル
ロゴ入りの短丈トップスやキャミソールに、色落ちしたローライズデニムを合わせます。足元は厚底スニーカーやヒールサンダルで、チェーンベルト、大きなサングラス、ショルダーバッグを加えます。2000年代前半の雑誌やショップで見られた活動的なスタイルです。
タイトワンピースのお姉系スタイル
黒、白、ベージュなどの体に沿うミニワンピースに、先のとがったパンプスやニーハイブーツを合わせます。短いジャケットやファーボレロを羽織り、ブランドバッグ、ゴールドアクセサリー、大きく巻いたロングヘアで大人っぽく仕上げていました。
ファーコートを使った冬のマルキュー系
白やベージュのファー付きコートに、黒いミニワンピースやショートパンツを合わせ、細身のロングブーツを履きます。大きなバッグ、サングラス、つけまつげ、巻き髪を組み合わせ、ボリュームのある上半身と細い脚の対比を作る冬の代表的な装いです。
マルキュー系と重なる関連スタイル

派手さや自己表現を重視する日本の若者ファッションの総称です。マルキュー系は、ギャルファッションの中でもSHIBUYA109のブランドや販売員との関係が特に強いスタイルです。

渋谷の街、音楽、雑誌、ショップなどから形成された幅広い若者ファッションです。マルキュー系はその中でも、109ブランドを中心とした女性向けの商業的なスタイルとして位置づけられます。

1990年代から2000年代に見られた複数のギャル系統を、後の時代からまとめた呼び方です。マルキュー系は、平成ギャルの中でも2000年代のブランド文化を象徴するスタイルに当たります。

ギャルらしい華やかさに、大人っぽい色気や女性らしさを加えたスタイルです。マルキュー系ブランドにもお姉ギャル向けの服が多く、細身の服、巻き髪、ヒール靴などで重なります。

リボン、レース、ピンク、盛り髪などを使い、姫のような世界観を表現したギャル派生です。甘めのマルキュー系と近いものの、姫ギャルは服から生活小物まで姫風に統一する傾向が強くなります。

肌を黒く焼かず、明るい髪、強いアイメイク、華やかな服でギャルらしさを表現するスタイルです。2000年代のマルキュー系には白肌で作られるコーディネートが多く、両者は広く重なっていました。

日焼けした肌、強めのアイメイク、肌見せの多い服を特徴とするスタイルです。黒ギャルも109ブランドを着用しましたが、マルキュー系は肌色ではなく、購入するブランドや全体の流行感によって分類されます。

盛り髪、濃いアイメイク、華やかなドレスなどを特徴とする、夜の仕事や『小悪魔ageha』と結びついたスタイルです。マルキュー系と服や美容要素を共有しますが、アゲ嬢は夜のドレス文化との関係がより強くなります。

2000年前後のローライズ、短丈トップス、光沢素材、ロゴ、小型バッグなどを再評価するスタイルです。マルキュー系と時代やアイテムが重なりますが、Y2Kは海外ファッションや後年のリバイバルまで含む、より広い分類です。
マルキュー系を広めたブランド・雑誌・文化
SHIBUYA109
マルキュー系という名称の由来になったファッションビルです。多数の若い女性向けブランドが集まり、ショップを巡るだけで当時の流行や複数のギャル系統を確認できる場所でした。
CECIL McBEE
女性らしいトップス、ミニスカート、ワンピースなどを幅広く展開し、長くSHIBUYA109を代表したブランドです。強め、甘め、お姉系を横断する商品があり、マルキュー系の間口を広げました。
EGOIST
黒を基調としたタイトな服や肌見せトップスを展開し、強く都会的なギャル像を示したブランドです。カリスマ店員ブームとも結びつき、ショップ店員が憧れの対象になる流れを象徴しました。
COCOLULU
デニム、ロゴ、カラフルなトップスなどを中心に、元気でカジュアルなギャルスタイルを提案したブランドです。セクシー系だけではない、活動的なマルキュー系を支えました。
LIZ LISA
花柄、リボン、レース、フリルなどを使った甘い服を展開し、2000年代の若い女性から支持されました。姫ギャルほど豪華に盛りすぎない、少女的な甘めマルキュー系を代表するブランドです。
MA*RS
黒とピンク、バラ柄、リボン、ハートなどを使い、甘さと小悪魔的な強さを組み合わせたブランドです。姫ギャル、アゲ嬢、小悪魔系と重なるマルキュー系の一方向を示しました。
『Popteen』
読者モデルやギャルモデルを通して、109ブランドの服、メイク、髪型を紹介した雑誌です。プロのモデルだけでなく、読者に近い人物を手本として見せることで、ブランドの着こなしを全国へ広めました。
カリスマ店員
店頭でブランドの服を着こなし、髪型やメイクまで含めて商品の魅力を伝えた販売員です。マルキュー系では店員自身がブランドのイメージを体現し、雑誌モデルに近い影響力を持つ場合がありました。
ブランドの世界観まで着るのが当時の基本
マルキュー系では、流行のアイテムを一つだけ加えるより、選んだブランドの世界観に沿って全身をそろえる着方が多く見られました。強め、甘め、お姉系、カジュアル系など方向は異なっても、トップス、ボトムス、靴、バッグ、髪型、メイクに統一感を持たせることが重視されていました。
トップスは体に沿うリブニット、キャミソール、ホルターネック、カシュクール、短丈カーディガンなどが中心です。上半身をコンパクトにまとめ、胸元、肩、ウエストを見せることで、女性らしい細身のシルエットを作っていました。
ボトムスにはミニスカート、ショートパンツ、ローライズデニム、ブーツカットパンツ、スキニーパンツなどが使われました。ミニ丈では脚を大きく見せ、パンツでは腰位置を低くして、短いトップスや幅広ベルトとの組み合わせを楽しんでいました。
足元はロングブーツ、ニーハイブーツ、ヒールサンダル、先のとがったパンプス、厚底スニーカーなどです。ブランドや系統によって靴の形は異なりましたが、脚を長く見せたり、全身に華やかさを加えたりする役割を持っていました。
色は黒、白、ベージュ、ブラウン、ピンクを中心に、赤、ゴールド、シルバーなどがアクセントとして使われました。ヒョウ柄、ゼブラ柄、花柄、ハート柄、チェック柄なども多く、強めの柄は黒、甘い柄は白やピンクと合わせる傾向がありました。
素材にはデニム、リブニット、サテン、合成皮革、レース、シフォン、ファーなどが使われました。秋冬にはファー付きコートやニット、春夏にはキャミソールやシフォンなど、季節ごとに分かりやすく素材を変える点もショップの提案らしい特徴でした。
髪型は明るいブラウンやベージュ系のロングヘアを巻いたスタイルが代表的です。強めのブランドでは大きな巻き髪、甘めではリボンや花飾り、お姉系では比較的なだらかな巻き髪など、選ぶブランドによって仕上げ方が変化しました。
メイクでは、細い眉、黒いアイライン、つけまつげ、カラーコンタクト、ベージュや淡いピンクのリップなどが使われました。服の系統に合わせて、甘めではピンク系のチーク、強めでは囲み目やヌーディーなリップを選ぶなど、メイクもブランドの雰囲気に合わせていました。
バッグはブランドロゴの分かるハンドバッグ、大きめのショルダーバッグ、小型のチェーンバッグなどが中心です。ショップでもらう紙袋をサブバッグとして持ち歩くこともあり、どの店で買い物をしたかが外から分かることにも意味がありました。
現在の感覚では、深いローライズ、短いトップスとミニ丈の組み合わせ、細い眉、上下のつけまつげ、大きな巻き髪、先のとがったロングブーツなどに時代感が表れやすくなっています。しかし、マルキュー系の本質は個々のアイテムだけではなく、ファッションビル、ブランド、ショップ店員、雑誌、買い物客が連動してひとつの流行を作っていた点にあります。
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