インディーキッドとは、原色、古着風の服、子どもっぽい小物を組み合わせ、SNS写真のような明るさを表現したファッションスタイルのことです。
原色と古着を混ぜた明るいSNSスタイル

インディーキッドは、カラフルなプリントTシャツ、ワイドデニム、スニーカー、ビーズアクセサリーなどを使い、無邪気で少し懐かしい雰囲気を表現したテイストです。赤、青、黄、緑といった原色を重ね、古着店やスケートカルチャーを思わせる服装へ、花、果物、スマイル、蝶などのモチーフを加えていました。
2020年から2021年頃のTikTokやPinterestでは、服装だけでなく、強い彩度、魚眼レンズ風の構図、使い捨てカメラ風の加工まで含めて共有されました。当時は明るく親しみやすいSNS aestheticとして支持されましたが、現在では名称を前面に出した投稿は減り、色使いやビーズ小物などが別のポップ系スタイルへ受け継がれています。
短い動画と写真加工が作った流行
2010年代後半に増えた古着とポップなネット表現
インディーキッドの前段には、古着店で見つけたプリントTシャツやデニムを自由に組み合わせるストリートファッションと、Tumblr、Instagram、Pinterestなどで共有されたカラフルな写真文化がありました。
「インディー」という言葉を含みますが、特定のインディーロックシーンへ直接属する服装ではありません。既存ブランドの統一されたルックよりも、古着、手作り小物、身近な雑貨を組み合わせた独立性やDIY感を示す言葉として使われていました。
2020年頃にTikTokで定型化された見た目
TikTokで短いコーディネート動画やaesthetic紹介が広がると、インディーキッドに共通する色、服、小物が視覚的な記号として整理されました。
大きなプリントTシャツ、カラフルなカーディガン、ワイドデニム、コンバース風のスニーカー、ビーズネックレスなどが代表的な組み合わせです。室内の壁にレコード、ポスター、写真、造花を飾り、服装と背景を同じ色調で統一した投稿も多く見られました。
同時期に外出や対面交流の機会が限られたことで、自室で撮影できるファッションや、安価な小物を自作する文化とも結びつきました。外出着だけでなく、オンライン上のプロフィールや映像全体を構成するaestheticとして発展しています。
写真の色まで含めて完成するスタイル
インディーキッドでは、実際の服の色だけでなく、撮影後の加工も重要でした。彩度を高くした写真、フラッシュ撮影、日付入りの使い捨てカメラ風画像、魚眼レンズ風の歪みなどが使われ、1990年代から2000年代初頭を思わせる人工的な懐かしさを作っていました。
公園、スケートパーク、スーパーマーケット、駐車場、子ども向け遊具など、日常的な場所も撮影背景として選ばれました。服装そのものの格式より、色、ポーズ、背景、小物を一枚の写真に収めることが重視されています。
2021年以降に細分化された明るいaesthetic
流行のピークを過ぎると、インディーキッドとしてまとめられていた要素は、キッドコア、Y2K、カラフルなストリート、クラッターコアなどへ分散していきました。
原色の重ね着、スマイルモチーフ、ビーズアクセサリーは残りましたが、インディーキッドという名称で一式を再現する投稿は次第に少なくなりました。現在では、TikTok初期のaesthetic文化を象徴する短期的なテイストとして振り返られています。
色の多さを成立させた服と小物
- グラフィックTシャツとプリントニット:花、果物、キャラクター、ロゴなどを大きく見せ、画面の小さな表示でも明るい世界観が伝わるトップスとして使われました。
- ワイドデニムとカラーパンツ:脚の線を拾わない太いボトムスによって、コンパクトなトップスや短いカーディガンと対比を作り、スケート風のラフさを加えていました。
- ビーズアクセサリーと子ども風の小物:スマイル、花、蝶、果物などを使ったネックレスや指輪が、手作り感と無邪気なポップさを示していました。
- 原色と補色を重ねる配色:青とオレンジ、赤と緑、黄と紫など、色差の大きい組み合わせを避けず、写真全体を明るく見せていました。
- スニーカーと布製バッグ:コンバース風のハイカット、スケートシューズ、キャンバストートなど、活動的で身近な小物が古着風の服装を支えていました。
当時を象徴したコーディネート
プリントTシャツとワイドデニム
果物や花が大きく描かれた白または原色のTシャツに、色落ちしたワイドデニムを合わせた基本的な装いです。足元にはカラフルなハイカットスニーカーを選び、ビーズネックレス、複数の指輪、布製トートバッグを加えていました。
短いカーディガンとカラーパンツ
赤、緑、黄色などの短いカーディガンをボタン留めしてトップスのように着用し、青や紫のストレートパンツを合わせる構成です。小さなショルダーバッグとヘアクリップを服と異なる色で加え、配色の多さを意図的に見せていました。
ボーダートップスとデニムショーツ
太いマルチボーダーのトップスに、ハイウエストのデニムショーツやショートオーバーオールを合わせた装いです。白いソックス、スニーカー、カラフルなサングラスを使い、公園やスケートパークで撮影されるスタイルとして見られました。
オーバーサイズスウェットとプリーツミニ
ロゴや大学名風のプリントが入った大きなスウェットに、チェックや無地のプリーツミニを合わせる構成です。ライン入りソックス、スニーカー、ビーズバッグを組み合わせ、スクール風とストリート風を混ぜていました。
パッチワークニットと柄パンツ
色の異なる編み地を組み合わせたニットやクロシェトップスに、花柄、チェック、渦巻き模様などのパンツを合わせた装いです。服同士の柄を揃えず、写真の彩度によって全体を一つの世界観へまとめていました。
同時期と前後に見られた関連スタイル

2000年前後のポップ、ギャル、ストリート、近未来感を再解釈した広いテイストです。インディーキッドはY2Kの色や懐かしさを共有しますが、ローライズやメタリックより、古着、原色、手作り小物を重視しました。

同時期にTikTokで広がったネット発のテイストです。E-girlが黒、赤、チェック柄、チェーンによる暗いサブカル感を示したのに対し、インディーキッドは原色とスマイルモチーフを使う明るい方向でした。

古着、原色、美術作品を思わせる小物を使う2010年代のaestheticです。インディーキッドよりも美術学生風の知的なイメージが強く、ゴッホなどの絵画モチーフも見られました。

子ども向け玩具、虹、アルファベット、原色などを意図的に取り入れるテイストです。インディーキッドと重なる部分がありますが、キッドコアは幼児用品を思わせるモチーフをさらに強く前面へ出します。

オーバーサイズTシャツ、ショートパンツ、スニーカーなどを使った2010年代末のSNS発スタイルです。インディーキッドよりも色使いが穏やかで、西海岸風の健康的な生活感を重視しました。

大きなTシャツ、ワイドパンツ、スニーカーなど、インディーキッドの服装を支えた広いテイストです。インディーキッドでは、ストリートの形へビーズや原色を加え、子どもっぽいポップさを強めました。

古着や過去のデザインを楽しむテイストです。インディーキッドは特定年代を忠実に再現するのではなく、複数年代のプリントや色をSNS向けに混ぜていました。

小物や装飾を多く重ね、整然としすぎない視覚情報を楽しむスタイルです。インディーキッドのカラフルな部屋、壁のポスター、アクセサリーを増やす感覚と共通します。

不自然な画像、懐かしい空間、奇妙な文字などで不安定な世界観を作るaestheticです。色やレトロな写真加工は共有しますが、インディーキッドよりも不気味さや違和感を重視します。
流行の姿を伝えたプラットフォームとカルチャー
TikTok
短いコーディネート動画やaesthetic紹介を通じて、インディーキッドの色、服、小物を定型化した中心的なプラットフォームです。
色別のコーディネート、部屋の装飾、写真ポーズなどをまとめた画像が共有され、インディーキッドの世界観を視覚的に整理しました。
Depop
古着や小規模ブランドの服を個人間で売買する場として、プリントTシャツ、カラーパンツ、ビーズ小物などを探す文化と結びつきました。
使い捨てカメラ風の写真加工
日付表示、粒子、強いフラッシュ、色ずれなどを加え、実際には新しい写真を1990年代から2000年代初頭の記録のように見せていました。
ビーズアクセサリーのDIY文化
自宅で過ごす時間が増えた時期に、アルファベットや花のビーズを使ったネックレス、指輪、スマートフォンストラップが多く作られました。
スケートカルチャー
ワイドデニム、グラフィックTシャツ、キャンバススニーカーなど、インディーキッドのラフなシルエットへ影響を与えました。
古着店・リセール文化
年代やブランドを厳密に揃えず、色やプリントを基準に服を選ぶ方法が、雑多で明るい組み合わせを支えました。
写真・部屋・服を同じ色調で揃えた着こなし
インディーキッドが流行した当時は、コーディネートだけを単独で見せるより、撮影場所や写真加工まで含めて一つの作品のように投稿する方法が多く見られました。服の色を壁のポスター、スマートフォンケース、飲み物、花などと揃え、画面全体へ原色を散らしていました。
トップスには、グラフィックTシャツ、短いカーディガン、クロシェニット、マルチボーダーが使われました。身体に沿うトップスと大きなTシャツの両方があり、特定の一つのシルエットより、色とプリントの強さが優先されています。
ボトムスはワイドデニム、カラーパンツ、デニムショーツ、プリーツミニなどが中心でした。丈の短いトップスには股上の深いパンツを合わせ、上半身を小さく、下半身を太く見せる比率も見られました。
靴はキャンバススニーカー、スケートシューズ、厚底スニーカーなど、カジュアルな形が多く使われています。靴ひもやソックスを服と異なる原色にし、足元まで色を途切れさせない組み合わせも特徴でした。
アクセサリーは細く控えめにするのではなく、複数のビーズネックレス、樹脂製リング、ヘアクリップ、スマイル柄のバッグなどを重ねました。小物同士の色を完全には揃えず、おもちゃ箱のような雑多さを残しています。
ヘアメイクはE-girlほど定型化されていませんでしたが、カラフルなヘアピン、細い三つ編み、部分的なヘアカラー、そばかす風メイクなどが見られました。アイメイクを強くするより、頬の色やリップを明るくし、健康的で無邪気な表情を作る傾向がありました。
現在の視点では、原色の服、複数のビーズアクセサリー、スマイルや果物のモチーフ、強く彩度を上げた写真を同時に使う部分に、2020年から2021年頃の時代感が表れます。当時は服装の完成度だけでなく、SNS上で明るく楽しげな人物像を作ることがテイストの中心でした。
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