アートホー

アートホーのコーディネート例 ファッションテイスト・カルチャー
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アートホーとは、原色や古着、美術作品を思わせる小物を組み合わせ、創作活動に親しむ人物像を表現したファッションスタイルのことです。

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美術館と古着店を行き来するような世界観

アートホーとは?

アートホーは、黄色、赤、青などの明るい色、ハイウエストデニム、ボーダートップス、ベレー帽、絵画柄の小物などを組み合わせた、2010年代半ばのインターネット発テイストです。服装だけでなく、スケッチブック、絵筆、フィルムカメラ、美術館の展示物を写真に収め、創作や美術鑑賞を身近な自己表現として見せていました。

当時は、美術学生風の知的さと、古着を自由に組み合わせる親しみやすさを併せ持つスタイルとして受け止められました。TumblrやInstagramへ作品、自画像、コーディネートを投稿する層を中心に広がりましたが、現在は独立した流行名として見かける機会が減り、色使いや絵画モチーフは別のSNS系テイストへ受け継がれています。

美術を一部の人だけのものにしないSNS文化

2010年代前半に広がったTumblrの創作コミュニティ

アートホーが生まれる以前から、Tumblrではイラスト、写真、詩、コラージュ、ファッションなどを個人が自由に投稿する文化が育っていました。

美術館や専門教育の外にいる若者も、好きな作品や自作の絵を共有し、プロフィール画面そのものを作品集のように構成していました。古着、レコード、植物、絵の具などを並べた写真も多く、ファッションと創作活動が同じ画面の中で扱われるようになります。

2015年頃に広がったアートホー・ムーブメント

「Art Hoe」という名称は、2015年頃にTumblrやInstagramで広がったオンライン上のアート運動と結びついています。

若い有色人種や性的少数者など、美術の主流から十分に表現されてこなかった人々が、自画像と美術作品を組み合わせ、自分たちも芸術の鑑賞者であり制作者であることを示しました。

有名な絵画の前で撮影した人物写真へ線や色を描き足す、顔の周囲に花や果物を配置するなど、デジタル加工を使った表現も見られました。服装は運動の中心そのものではありませんでしたが、作品に使われる原色や美術学生風の服が次第に共通の外見として認識されていきます。

2016年から2018年頃に定型化したファッション

SNS上でアートホーの画像が増えると、マスタードイエローのトップス、ハイウエストデニム、ボーダー、コンバース風スニーカー、ベレー帽などが代表的なアイテムとして共有されました。

ゴッホの『ひまわり』や『星月夜』、マティス風の切り絵、モネの睡蓮など、美術作品を印刷したTシャツやソックスも使われました。作品の背景を深く研究する場合だけでなく、色や図柄をファッションへ取り入れる楽しみ方も広がっています。

服装と一緒に、画材、植物、レコード、詩集などを写す投稿も多く、美術を好む生活全体が一つのaestheticとしてまとめられました。

2010年代末から別のaestheticへ分散

2010年代末になると、アートホーという名称を使った投稿は次第に減少しました。原色、古着、絵画、DIY小物といった特徴は、インディーキッド、クラッターコア、アートアカデミアなどの異なるスタイルへ分かれていきます。

また、流行が広がる過程で、当初の社会的な表現活動よりも「美術学生風の服装」という表面的なイメージが前面に出るようになりました。

現在では、アートホーは2010年代半ばのTumblr・Instagram文化を示す回顧的な名称として扱われることが多くなっています。

美術学生らしさを示した服・色・小物

  • 原色のトップスとボーダー:マスタードイエロー、赤、青、緑のニットやTシャツが、絵の具を思わせる明るい色面を作りました。白黒または多色のボーダーも、写真の中へ規則的な線を加える柄として使われました。
  • ハイウエストデニムとコーデュロイ:ストレートデニムやコーデュロイパンツは、古着感と作業着らしい実用性を持ち、画材を扱う美術学生風の人物像を支えていました。
  • 絵画プリントと美術館グッズ:名画を印刷したTシャツ、靴下、トートバッグは、美術への関心を分かりやすく示す記号として使われました。
  • ベレー帽と丸眼鏡:画家や学生を連想させる小物として、顔まわりに知的で少しレトロな印象を加えていました。
  • 布製バッグと手作りアクセサリー:キャンバストート、刺繍、ピンバッジ、ビーズなどが、既製品だけで完成させないDIY的な雰囲気を表していました。

当時を再現する代表的なコーディネート

マスタードニットとハイウエストデニム

マスタードイエローのタートルネックまたはクルーネックニットを、明るく色落ちしたハイウエストデニムへ入れた組み合わせです。黒いベルト、白いソックス、キャンバススニーカーを合わせ、丸眼鏡や布製トートバッグを加えていました。

ボーダートップスとコーデュロイパンツ

赤白または多色のボーダートップスに、ブラウンや深緑のコーデュロイパンツを合わせた装いです。パンツはストレートまたはゆるやかなワイド型が多く、ベレー帽、革靴、フィルムカメラを組み合わせて美術学生風に見せていました。

名画Tシャツとデニムオーバーオール

ゴッホやモネなどの作品を印刷したTシャツに、デニムのオーバーオールを重ねた構成です。黄色や赤のソックス、スニーカー、ピンバッジ付きのトートを加え、画材を持ち歩く学生のような実用的な服装として見られました。

襟付きブラウスと台形スカート

白い襟付きブラウスやタートルネックに、マスタード、赤、ネイビーなどの台形スカートを合わせた装いです。カラータイツ、ローファー、ベレー帽を加え、トゥイーに近い古風さへ原色のアクセントを重ねていました。

プリントシャツとワイドデニム

花、果物、抽象画などが描かれた開襟シャツを、色落ちしたワイドデニムへ合わせたコーディネートです。シャツの裾を入れ、細いベルトで腰位置を示し、キャンバストートや大ぶりの樹脂製アクセサリーを添えていました。

創作と古着感を共有した関連スタイル

ヴィンテージファッション

ヴィンテージファッションとは

過去に作られた服や年代特有のデザインを楽しむ広いテイストです。アートホーでは年代を忠実に揃えるより、色、柄、手触りを基準に複数年代の古着を混ぜていました。

トゥイー

トゥイーのコーディネート例

襟付きブラウス、カーディガン、カラータイツなどを使う2010年代前半のインディー系スタイルです。アートホーは、トゥイーの古風な学生感へ原色、美術作品、創作活動を加えたような見え方を持っていました。

インディーキッド

インディーキッドのコーディネート例

原色、古着、スニーカー、ビーズ小物を使った2020年代初頭のSNS発スタイルです。アートホーよりも無邪気でポップな印象が強く、美術作品よりスマイル、果物、玩具風のモチーフを多く使いました。

E-girl

E-girlのコーディネート例

同じくネット文化から広がったスタイルですが、黒、赤、チェック、チェーンを中心に、ゲームやアニメ、パンクの暗い要素を重視しました。

キッドコア

キッドコアのコーディネート例

原色や子ども向けモチーフを共有します。アートホーが美術作品や学生的な創作を背景に持つのに対し、キッドコアは玩具、虹、アルファベットなど幼少期を思わせる記号が中心です。

アートアカデミア

アートアカデミアのコーディネート例

美術史、画材、アトリエ、学生生活をテーマにした関連スタイルです。アートホーよりも落ち着いた色や古典美術の雰囲気を重視し、学術的な世界観が強く表れます。

インディースリーズ

インディースリーズのコーディネート例

古着やインディー文化を共有する2000年代後半のスタイルです。インディースリーズが夜のクラブや乱れたレイヤードと結びつくのに対し、アートホーは昼の美術館、教室、制作室を思わせる明るい配色が中心でした。

ストリートファッション

ストリートファッションのコーディネート

Tシャツ、デニム、スニーカーなど、アートホーのカジュアルな服装を支えた広いテイストです。アートホーでは、ストリートのシルエットへ絵画プリントや手作り小物を加えていました。

クラッターコア

クラッターコアのコーディネート例

色、柄、小物を多数重ね、視覚情報の多さを楽しむスタイルです。アートホーの画材、ポスター、植物、雑貨を並べた生活空間の表現を、さらに装飾的な方向へ広げています。

ウィアードコア

ウィアードコアのコーディネート例

低画質画像や不自然な空間によって、奇妙さや不安感を表現するaestheticです。デジタル加工を使う点は共通しますが、アートホーの明るい創作性よりも、記憶の曖昧さや違和感を中心にしています。

ムーブメントを伝えたプラットフォームと文化

Tumblr

作品、自画像、詩、写真を自由に組み合わせる場となり、アートホー・ムーブメントとファッションの視覚言語が共有された中心的なプラットフォームです。

Instagram

美術館で撮影した写真、作品を重ねた自画像、色を揃えたコーディネートなどが投稿され、アートホーを画像中心の文化として広めました。

Art Hoe Collective

若い有色人種をはじめ、従来の美術界で十分に表現されにくかった人々の作品を可視化する活動として、名称の普及に大きく関わりました。

ゴッホの作品

『ひまわり』『星月夜』などは、黄色や青の強い色彩と知名度から、Tシャツ、靴下、スマートフォンケースなどのモチーフとして多く使われました。

美術館のミュージアムショップ

名画を印刷したトートバッグ、ポストカード、ソックスなどが、日常着の中で美術への関心を示す小物として選ばれました。

フィルムカメラ・インスタント写真

作品制作や日常の記録を趣味として見せる小物であり、粒子のある写真や日付表示がアートホーの古着感と結びつきました。

古着店とリセール文化

ブランドや年代を統一せず、色や図柄を基準に服を探す場所として、アートホーの自由な組み合わせを支えました。

作品と本人を一枚の画面に収めた着こなし

アートホーが広がった時期には、服装だけを単独で記録するのではなく、絵画、画材、植物、美術館の展示物などと一緒に撮影する投稿が多く見られました。服の配色を背景の作品と合わせ、人物自身をコラージュの一部のように見せる方法が特徴でした。

トップスは、マスタード色のニット、白黒ボーダー、タートルネック、絵画プリントTシャツなどが中心です。胸元へ大きな図柄がある服は、上半身を写した写真でも美術への関心が伝わりやすく、SNS上の記号として機能していました。

ボトムスには、ハイウエストのストレートデニム、コーデュロイパンツ、台形スカート、デニムオーバーオールなどが使われました。腰位置を高く見せ、トップスをパンツやスカートへ入れることで、1970年代風の素朴な輪郭を作っています。

服の形は身体を強く締め付けるものより、制作や移動がしやすい直線的なシルエットが多く見られました。大きなスウェットやシャツを使う場合も、裾を部分的に入れたり、袖をまくったりして、作業中のような見た目を残していました。

色使いでは、マスタードイエローが特に象徴的でした。そこへ赤、コバルトブルー、深緑、オレンジを加え、白やデニムカラーで色同士を区切ります。淡色だけでまとめるのではなく、絵の具のように明確な色面を配置することが当時らしさにつながっています。

靴はキャンバススニーカー、ローファー、ドクターマーチン風の革靴などが選ばれました。バッグにはキャンバストートやメッセンジャーバッグを使い、スケッチブック、画材、カメラが見えるように持つ場合もありました。

アクセサリーでは、ベレー帽、丸眼鏡、カラフルなソックス、樹脂製リング、ピンバッジなどが使われています。画材を思わせる色数は多いものの、宝石風の豪華さより、手作り感や学生らしい実用性が優先されました。

ヘアスタイルは、自然なウェーブ、短いボブ、無造作なお団子、カラーピンなどが中心です。メイクはそばかすを描く、頬へ赤みを広げる、原色のアイラインを加えるなど、整った華やかさよりも創作的な遊びを見せていました。

現在の視点では、マスタード色のタートルネック、ハイウエストデニム、丸眼鏡、ベレー帽、ゴッホ柄のトートを同時に使った姿に、2010年代半ばのアートホーらしさが強く表れます。当時は、美術を知っていることを示すだけでなく、自分の姿や生活そのものを作品として発信することがテイストの中心にありました。

関連タグ

  • ヴィンテージファッション
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