マーメイドコアとは、海面のような光沢や透ける素材、貝殻・真珠・鱗を思わせる装飾、青緑や紫の配色によって、人魚が暮らす海中世界を表すファッションスタイルのことです。
海の色と質感を服へ置き換えた幻想スタイル

マーメイドコアは、人魚を直接描いた服ではなく、水面の反射、魚の鱗、濡れた肌、貝殻、海藻などを色や素材で表現するスタイルです。アクアブルー、ターコイズ、シーフォームグリーン、ラベンダー、シルバーなどを基調に、シアー生地、サテン、メタリック素材、スパンコール、クロシェ、パールを組み合わせます。
判断基準になるのは、海を連想させる色だけではありません。光を受けて表情が変わる生地、波のようなドレープ、網や海藻に見える重なり、貝や鱗を思わせる装飾が合わさることで、海中の幻想感が明確になります。
裾が広がるマーメイドスカートやマーメイドドレスは取り入れやすいアイテムですが、着用するだけでマーメイドコアになるわけではありません。反対に、マーメイドラインを使わなくても、透ける水色のトップス、光沢のあるロングスカート、パールや貝殻の小物を組み合わせれば成立します。
添付データでは、マーメイドコアは「貝殻や光沢で人魚のような海の幻想感を出す」2020年代のガーリー・ロマンティック系テイストとして整理されています。範囲の広い海辺ファッションではなく、人魚という幻想的な存在へ焦点を絞ったスタイルです。
水中らしさを生み出す素材とディテール
偏光光沢と濡れたような表面
オーロラ加工、メタリックサテン、ラメニット、ホログラム、玉虫色のスパンコールなど、見る角度によって色が変わる素材を使います。強い鏡面光沢だけでなく、薄い膜を張ったような艶を選ぶと、水面や真珠層に近い奥行きが生まれます。
シアー素材を重ねた水の層
チュール、オーガンジー、シフォン、メッシュなどを一枚で使うのではなく、色や丈をずらして重ねます。透ける青緑の生地からラベンダーやシルバーをのぞかせることで、浅瀬から深海へ色が変化するような層を作れます。
波や海藻を思わせる曲線
ドレープ、フリル、ラッフル、アシンメトリーな裾、ねじれたギャザーなどが、水の流れや海藻の揺れを表します。均一な細かいフリルよりも、幅や方向が不規則な装飾の方が、自然な水中の動きに近づきます。
鱗のように連なる装飾
円形スパンコール、重なったビーズ、うろこ柄、クロシェの編み目などを使い、表面へ細かな反射を加えます。鱗柄を全面へ印刷する方法だけでなく、バッグやトップスの一部分に円形パーツを重ねる方法もあります。
貝殻、真珠、ヒトデのモチーフ
シェル型のトップス、マザーオブパール風ボタン、バロックパール、ヒトデやタツノオトシゴのアクセサリーなどが、海中のテーマを直接伝えます。複数の海モチーフを同じ場所へ集めると衣装的に見えやすいため、耳元、胸元、バッグのいずれかへ配置すると服との関係が保たれます。
青緑を中心にした海中グラデーション
ターコイズ、アクアブルー、シーフォームグリーン、コバルト、ラベンダー、パールホワイトなどを使います。すべてを鮮色にせず、灰色を含んだ青緑や白っぽい紫を挟むと、深さや光の届き方が異なる海の色を表現できます。
人魚のイメージが2020年代の名称になるまで
人魚や海中世界は、マーメイドコアという言葉が使われる以前から、ドレス、舞台衣装、映画、リゾートウェアの題材になってきました。裾が尾びれのように広がるマーメイドライン、貝殻やヒトデの装飾、魚の鱗に似たスパンコールなどは、長くファッションへ取り入れられています。
1990年代のヴェルサーチには海洋生物や貝殻を使ったコレクションがあり、2000年代初頭のブルマリンにも、色鮮やかな海中世界を思わせる服が見られました。こうした過去のデザインは、Y2Kファッションの再評価とともに、2020年代のマーメイドコアへ接続しています。
2022年から2023年にランウェイとSNSで拡大
2023年春夏コレクションでは、ブルマリンをはじめ、複数のブランドが濡れたようなドレープ、青緑の光沢、網状の服、シェルモチーフなどを発表しました。ブルマリンの春夏コレクションでは、人魚をより暗く官能的に解釈し、海中の幻想をY2Kやゴシックに近い表現へ変えています。
2023年に迎えた名称の最盛期
マーメイドコアという名称が最も大きく注目されたのは2023年です。実写映画『リトル・マーメイド』の公開とハリー・ベイリーの衣装、映画『バービー』に登場したマーメイド・バービー、海を題材にしたランウェイが重なり、SNS発のマイクロトレンドとして広く紹介されました。
当時のVOGUEは、真珠のような質感、海辺の雰囲気、強いきらめきをマーメイドコアの中心とし、最盛期を2023年5月の『リトル・マーメイド』のプロモーション期間と整理しています。日常着よりも華やかで、鱗のようなスパンコール、顔に置くパール、青いアイメイクなどを含む強い表現が特徴でした。
近い幻想系・海辺系スタイルとの境界
シレーンコアとの違い

シレーンコアも海の神話や人魚に近い存在を題材にしますが、黒、深い青、ダークグリーン、ボディラインを見せる服、鋭いアクセサリーなどを使い、妖しさや危険な色気を強調します。
マーメイドコアはパールホワイト、アクアブルー、ラベンダーなどの明るい色も多く、きらめきや夢のある海中世界まで含みます。暗い海と誘惑を強めるとシレーンコア、光や貝殻の幻想感を中心にするとマーメイドコアとして見分けやすくなります。
フェアリーコアとの違い

フェアリーコアは、花、蝶、羽根、森などを題材に、チュールやシアー素材で妖精のような軽さを表します。淡色と透け感は共通しますが、自然の舞台が森や花畑に置かれています。
マーメイドコアでは、羽根や花冠ではなく、貝殻、真珠、鱗、網目を使い、水面の光や濡れた質感を加えます。
マリンスタイルとの違い

マリンスタイルは、白、ネイビー、赤、ボーダー、セーラーカラーなどを使い、船上や港を思わせる爽やかな服装を作ります。
マーメイドコアは水兵服や船の意匠ではなく、海中にいる生物や神話的な人魚を題材にします。ボーダーや金ボタンより、偏光光沢、シアー、貝殻装飾が中心です。
リゾートファッションとの違い

リゾートファッションは、旅行先や海辺で快適に過ごせるワンピース、カフタン、サンダルなどを広く含みます。通気性や開放感が重要で、海の幻想的な装飾は必須ではありません。
マーメイドコアは実際の浜辺に適した機能より、海中世界を視覚化する色や質感を優先します。リゾートドレスにパールやシェルを加えた程度ではなく、素材の反射や曲線までそろえると違いが明確になります。
フューチャリスティックとの違い

フューチャリスティックもメタリック、ホログラム、偏光素材を使いますが、宇宙、機械、未来都市を背景に、硬い構築的なシルエットを作ります。
マーメイドコアでは同じ光沢素材を、波、鱗、真珠、水滴などの有機的な形へ置き換えます。直線と金属的な硬さが強い場合は未来系、曲線と水の揺らぎが強い場合はマーメイドコアへ近づきます。
海中の物語が伝わるコーディネート
シアートップスと偏光スカートの海面スタイル
淡いアクアブルーのシアートップスに、青からラベンダーへ色が移る偏光素材のロングスカートを合わせます。スカートは腰まわりをすっきりさせ、裾へ向かって緩やかに広がる形を選びます。
足元はシルバーの細ストラップサンダル、耳元は一粒ではなく形の不ぞろいなバロックパールにします。透ける上半身と反射する下半身によって、海面から尾びれへ続くような縦の流れが生まれます。
クロシェとサテンによる海藻レイヤード
アイボリーまたはシーフォームグリーンのクロシェトップスに、光沢のあるサテンキャミソールを重ね、ターコイズのドレープパンツを合わせます。クロシェは編み目が大きく、漁網や珊瑚を連想させる不規則な形を選びます。
バッグはビーズや貝殻を使った小型タイプ、靴は透明感のあるサンダルにします。肌が見える編み目と流れるパンツが、水中で揺れる海藻のような動きを作ります。
鱗スパンコールの強いマーメイドスタイル
円形スパンコールを重ねたブルーグリーンのキャミソールに、裾が波状に広がる黒または深いネイビーのロングスカートを合わせます。首元には短いパールネックレス、目元には青緑の偏光アイメイクを加えます。
鱗、尾びれ、海中色を明確にそろえるため、パーティーや撮影でマーメイドコアを強く表したい場合に適した構成です。バッグや靴まで海モチーフにせず、服の反射を主役にします。
白いドレスとシェルアクセサリーのパールスタイル
パールホワイトのサテンドレスに、透明なオーガンジーのロングシャツまたはケープを重ねます。ドレスは胸元に緩やかなドレープを持たせ、裾は細長く落ちる形にします。
シェル型イヤリング、マザーオブパール風のクラッチバッグ、乳白色のサンダルを合わせると、鮮やかな青を使わなくても、真珠や貝殻を中心にした海中の幻想感を表現できます。
海色ニットを使った日常的なマーメイドコア
ブルーグリーンのラメ入り薄手ニットに、ライトグレーのサテンナロースカートを合わせます。靴はシルバーのフラットシューズ、バッグは無地の白または半透明素材とし、シェル型のペンダントを一点加えます。
ドレスや大きな装飾を使わず、海の色、控えめな反射、曲線的なアクセサリーへ要素を絞った構成です。日常着としても、マリンスタイルとは異なる海中の質感を残せます。
マーメイドコアと接点を持つ主なスタイル

人魚や海の神話を共有する最も近い関連スタイルです。シレーンコアは暗色、身体へ沿う形、強い色気を中心にし、マーメイドコアは明るい海色や真珠のきらめきまで含みます。

透ける素材、幻想的な色、自然モチーフを共有します。森や羽根を海や鱗へ置き換えることで、マーメイドコアに近づきます。

白、シアー、光を反射する装飾を共有します。エンジェルコアは羽根や雲のような空の軽さ、マーメイドコアは水面や貝殻の湿度を表します。

現実から離れた不思議な世界を表す点で接点があります。ドリームコアは記憶や夢の違和感を含みますが、マーメイドコアは海中という舞台とモチーフが明確です。

ドレープ、光沢、柔らかな曲線による夢のある装いを共有します。マーメイドコアは、ロマンティックな表現を青緑の配色や海洋モチーフへ限定したスタイルとして捉えられます。

海辺で着るドレス、クロシェ、サンダルなどが重なります。リゾートの開放感へ、偏光素材、鱗、真珠を加えるとマーメイドコアの性格が強くなります。

海を背景に持つ関連スタイルですが、船上と海中という舞台の違いがあります。マリンは水兵服、マーメイドコアは人魚や海洋生物の表現が中心です。

身体へ沿うドレス、光沢、スパンコール、存在感のある装飾を共有します。マーメイドコアをイブニングウェアやレッドカーペット向けに強める際に接点を持ちます。

偏光素材やメタリックカラーが共通します。未来感を有機的な水の形へ変えると、サイバー寄りではない幻想的なマーメイドコアになります。
2023年の流行を経て2026年に再び表面化
マーメイドコアは、2023年に映画、レッドカーペット、ランウェイ、SNSが重なったことで名称の最盛期を迎えました。その後はバービーコアなどと同様に、強いマイクロトレンド名としての露出はいったん落ち着きましたが、海洋モチーフや光沢素材そのものは継続して使われました。
2024年にはラインストーンやパールを顔まわりへ置くマーメイド系ビューティーがランウェイへ残り、2025年にもシェルジュエリー、スパンコールドレス、海洋モチーフが再び紹介されています。
さらに2026年夏は、マーメイドコアが再び季節トレンドとして表面化しています。春夏コレクションやクルーズコレクションを背景に、アクアマリン、網状のクロシェ、海洋生物のアクセサリー、貝殻、鱗状スパンコールなどが具体的な要素として挙げられています。2023年のホログラムや派手な人魚衣装をそのまま繰り返すのではなく、素材と装飾を洗練して使う方向へ変化しています。
2026年7月にも、クロシェパンツ、偏光サロン、珊瑚ジュエリー、シェル装飾を用いたマーメイドコアが夏のスタイルとして紹介されています。現在は人魚の仮装に近づけるより、青緑の色、濡れたような艶、海の有機的な質感を部分的に借りる着方が中心です。
そのためマーメイドコアは、2023年だけで終わった流行ではありません。名称には波がありますが、夏のリゾートファッション、幻想系のドレス、Y2K、シェルアクセサリーなどと結びつきながら、繰り返し再解釈される海洋系のマイクロトレンドとして残っています。
関連タグ
- シレーンコア
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